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だいじょうぶ。 離れたって、 もう1度一緒に暮せる日がくるって。 信じてる 何度でも 何度でも さよならの言葉 1 「んん・・・。」 カカシは、隣で眠っているがわずかに上げた声で目を覚ました。 カーテンから明るい光がもれている外の様子から、もう少しでの目覚ましがなる時間なのだろうとぼんやり思う。 「・・・?」 その寝顔を覗き込んで見ると、苦しそうというより どこか不思議そうという言葉がぴったりなような表情をしている。 カカシの呼びかけにも反応しない。 どーんな夢見てるんだか。 穏やかな表情で、の髪をさらさらと梳き その腕で護るように抱きしめてもう1度眠りについた。 か・・・ご、・・・ぃ。 え? ノイズがかかったような音で、うまく聞き取れない。 届かない声。 はっきりとその姿は見えるのに 真っ白な空間に、たんぽぽみたいな金色がよく映える。 私がわからないのがわかると、その人は少しさびしそうに困ったように笑う。 ねぇ、あなたはだれ? どうして どうして、どこかで会ったような気がするの? 私が声を出そうと息を吸うと、いつもそこで目が覚める。 それがいつからだったかくり返し見る夢。 はいつものように、キッチンに立ち朝食の準備をする。 いつもは驚くほど気配に敏感な彼も、朝が弱いのかはたまた意識的に無視しているのか がかける目覚ましの音ではピクリとも目を覚まさない。 そろそろ起こしに行こうかと思ったくらいに、いつもなら眠い目をこすりながら戸を開ける家主の彼は 今日は違った。 「おーはよ。」 「ぅ、わあ!?」 音もなく突然後ろから抱きしめられ、は当然の事ながら驚いた。 「カカシさん!!」 「ん〜〜?なぁに。」 なあにじゃないでしょ!ったく。 「朝っぱらからムダに忍者能力使わないでください。」 「えームダなんかじゃないよ。こうやってたまにはいつもと違う朝を演出してだねぇ」 「はいはい、わかりましたから離してください。そんで顔、洗ってきてください。」 少しそっけない彼女の態度は、前を向いたままの顔と少し見える耳をみればそりゃー納得。 「やーだね。」 「ちょ、ちょっとカカシさん?!」 怒ったように振り向くに、拘束していた腕をぱっと離す。 「ふざけないでください。」 「だーってさ、未だにこんなことで顔あかくしちゃう見てたらそりゃかわいく思うでしょ。」 カカシの言い草にムダだとわかっていながらも、持っていたお玉を目の前に突きつけると 彼は両手を胸の前まであげ、降参のポーズをとった。 しかし、その顔はへらへらと相変わらずゆるい。 別にとて、カカシにべたべたとされるのが嫌な訳ではない。 ただ単純に照れるということと、こちらの心の準備もないままに突拍子もない行動をとることに なんとなく素直に喜べないというか、受け入れがたい気持ちでいた。 なにより、からかわれている雰囲気が否めないのが少し気に入らない。 「・・・からかわないでっていつもいってるじゃないですか。」 子どものように拗ねるにクスクスと笑いながら、カカシはその手からお玉を奪い取り 反対の手でコンロの火を消し、もう1度をその腕に閉じ込めた。 「じゃあ、いつになったらオレに慣れてくれるんですか。」 口調を真似て首をかしげながら意地悪にそう言ってみると、案の定はうっ、と返答に困っている。 簡単に慣れてしまわれたら困るんだけどね、と心は矛盾していながらも。 「だ、だってカカシさんていつも突然で・・・心の準備が・・・その。」 「飽きられないよーにってオレも必死なのよ?」 に対しては簡単に余裕をなくしてしまう、オレだから。 少しは必死な自分を隠せるようにはなったんだけど。 「で。」 「はい?」 お互いの距離はそのままに、カカシはあっさりと話の方向性を変えた。 「なんの夢みてたの?」 「え・・・?」 なんで知っているのだろうか。 それともただ気になった程度のことだろうか。 「なんの話・・・で、しょう?」 別にくり返しこういう夢を見るのだ、と素直に打ち明ければいいだけの話だった。 なんとなく ただ、なんとなく。 はすんなりと口にすることが出来なかった。 「ふーん。」 絶対に追及されるものだと思っていたのに、あっさりと引き下がるカカシさんに拍子抜けしたというか。 なんでって聞かれれば答えられたのに、それだけで洗面所にむかった後姿を見つめながら はどうしてこの時言わなかったのだろうと いくらあとから後悔しても遅かった。 「カカシさん・・・・怒ってるかな。」 は、記憶の片隅に追いやっていたはずの街の喧騒の中にたたずみながら 驚くほどに消えていく自分の声に、木の葉の里を思い出して1人泣きそうなほど帰りたくなっていた。 私の帰る場所は、ここじゃない。 「あと、5日もあるのかー。」 なんで私がそうなったのかっていうと。 は順を追ってまだカカシと一緒にいた日のことを思い出していた。 「あ、ナルトくーん!!」 遠くからでもよく見えるたんぽぽみたいな黄色の髪の毛を見つけた私は、 そちらに向かっておもいっきり手を振った。 「ねーちゃん!!!」 そこはやはり忍者。 近づくスピードは驚くほど速い。 はその身を受けとめようと両腕をいっぱいに広げ、おとずれる感覚を待っていると。 「させるか。」 最近間近でよく見る瞬身という術で、サスケくんがナルトくんの襟首を掴んでその動きを止めた。 「なっ、サスケぇ!!はーなーせー!!!」 その場から一歩も進めなくなっても尚、手足をバタつかせるナルト。 「サスケくんもお帰り。サクラちゃんとカカシさんは?」 「この、ドベ。お前いい加減自分の歳考えろ・・・ただいま、。あいつらならもう来るはずだ。」 「いーんだよ、俺ってばいつまでたっても任務頑張った後はねーちゃんに抱きしめてもらいてーの!! なっな、ねーちゃんだってそう思うだろ??」 ナルトの必死な様子にクスクスと笑う。 「・・・アホか。」 お前だけそんなおいしい思いをさせてたまるか、というサスケの心のうちはナルトには聞こえまい。 ため息をつきながらサスケが呆れていると、 「くっそ、サスケ〜〜・・・なんてな。」 いたずら小僧の笑みを浮かべ、ボフンという音と煙と共に 気づけばサスケの手にはナルトのオレンジの上着だけが残っていた。 「テメー・・・。」 「へっへーん、俺もちょっとは成長したんだってばよ。ねーちゃーん!」 今度こそ、との胸に飛び込んだナルトは「えへへvただいまってばよ!」と、満面の笑みを浮かべていたが。 「甘いな、ナルト。」 「へ?」 柔らかい人の感触だと思っていたそれは、あっという間に固い無機質なものへと変えられていた。 「そーんな簡単にオレが許すとでも思ってんの?」 声のほうに目を向けると、そこには遠く後ろに置いてきぼりにしてきたはずのカカシ先生。 と、ものの見事にお姫様抱っこをされているねーちゃんが俺を見下ろしていた。 「・・・・ちぇ。」 むくれるナルトなどそっちのけで、カカシは降ろしながらに話しかける。 「ただーいま、v」 「お、おかえりなさい。あの・・・ナルトくん?」 しょげるナルトに、さらに追い討ちをかけるのは。 「アンタ馬鹿?」 「サクラちゃん、お帰りなさい。」 女の子らしいかわいい笑みを浮かべて、言葉を返すのは第七班で紅一点のサクラちゃん。 「ただいま戻りました、さん。」 その後は、拗ねたままだった俺をかわいそうに思ったのか ねーちゃんは頭をよしよしってなでてくれた。 カカシ先生の視線がすげー痛かったけど。 残りの帰り道、サクラちゃんはサスケと、カカシ先生はねーちゃんと話すのに夢中になってる。 あまり者の俺とムサシは後ろから付いて行きながら。 「ああいうのはカカシの目の届かないところでやるんだな、ナルト。」 腕を頭の後ろで組みながら、俺は足元のムサシを見た。 「今日だって別にカカシ先生の目から逃れてたってばよ。・・・うまくいかなかったけど。」 「例えばカカシが里外に出てる時とかだなぁ、」 「へぇーそんなにオレが邪魔?」 「うわああ!!カカシ先生!?」 今まで前方でとの話に夢中だったカカシが、突然振り向いてそう言うものだから ナルトもムサシも驚いた。 隣のは不思議そうな顔をしている。 「・・・・カカシセンセーってばねーちゃんにベタ惚れすぎ。」 「えーナルトお前それ、今さら。」 「ちょ、ちょっとカカシさん!ナルトくんまで!!」 「いいなー私達もどう?サスケくんvv」 「・・・興味ねぇ。」 いきなり何をいいだすのやら、と真っ赤になって慌てているなどおかまいなしに ナルトはまたしてもがっかりし、カカシはカカシでニヤニヤとしているし、サクラの言葉にも相変わらずなサスケで ムサシは勝手にしろ、と慣れっこな様子だった。 こんな風景が当たり前になっていた。 木の葉にいる自分が、 皆と一緒にいる自分に なんの違和感も感じてなかった。 そんな春の日常のうちの1コマ。 その日は、カカシさんとベッドに入って向かいながら 「明日でがきてちょうど1年だね。」なんて話をした。 いつもより抱きしめる力が強かったのは、気のせいなんかじゃなかった。 ななはーん!!! 七班がいとしいです。 でも大人組も出したい。 ゲンマとかゲンマとか。 ちょっとゲンマの魅力に改めてはっとした今日このごろ。 ・・・・伏線くり返し過ぎてウザイですかね、ごめんなさい。 |